【視察レポート】三重県亀山市から視察に来ていただきました!
三重県亀山市のまちづくり協議会の連合会の方々と市職員の18名が、1泊2日で関市にお越しくださいました!
今回の視察のテーマは
・地域の担い手育成・確保
・地域の空き家、古民家活用
2日間のスケジュールはこちら
1日目
- 10:00-11:45 オリエンテーション in せきてらす
- 関市の紹介
- 関市における”協働”について
- NPO法人せき・まちづくりNPOぶうめらんの紹介
- 11:45-13:00 昼食(丸しん)
- 13:30-14:30 古民家宿泊施設:神野テラス
- 施設・活動の紹介
- 意見交換会
- 岩城淳一さん(株式会社大自然 代表取締役)
- 15:00-15:15 道の駅「平成」で休憩
- 15:30-16:30 地域委員会:NPO法人日本平成村 in 武儀生涯学習センター
- NPO法人日本平成村の活動紹介
- 福祉有償運送
- 担い手確保・育成
- 空き家対策
- 意見交換会
- 可児翔也さん(NPO法人日本平成村 事務局長) 江坂侑さん(NPO法人日本平成村 事務局)
- NPO法人日本平成村の活動紹介
- 17:00-18:00 古民家改装、カフェ兼コワーキングスペース:そばのカフェおくど
- そばのカフェおくどの紹介
- 意見交換会
- 中田誠志さん(合同会社地域と協力の向こう側 代表社員、総務省サポートデスク専門相談員、総務省地域おこし協力隊アドバイザー)
- 18:00-20:00 夕食兼交流会 in そばのカフェおくど
2日目
- 8:45-9:30 空き家DIY:かわまろじ
- かわまろじの活動について
- 意見交換会
- 田口智樹さん(かわまろじ 代表)
- 9:45-10:30 交流拠点:古民家あいせき
- 古民家あいせきについて
- 関市の空き店舗活用
- 意見交換会
- 関市都市計画課
- 10:45-11:45 地域委員会:くらちふれあいまちづくり協議会 in 倉知ふれあいセンター
- くらちふれあいまちづくり協議会の活動について
- 「いろんな人が地域活動に参加するコツ」トークセッション
- くらちふれあいまちづくり協議会の皆さん
- 12:00~13:15 昼食 お料理屋 孫六
- 13:30~15:00 まとめセッション・振り返り
- グループディスカッション「自地域でどのように活かすか?」
- ぶうめらんより総括
- せきてらすでの自由行動(お土産購入、観光など)
オリエンテーション in せきてらす
視察の始まりは、せきてらす(〒501-3874 岐阜県関市平和通4丁目12番地1)にて、
①関市について
②関市における”協働”の取り組みについて
③せき・まちづくりNPOぶうめらんの活動の紹介
をさせていただきました。
関市は、岐阜県のほぼ中央に位置し、市街地から名古屋までは公共交通機関で約1時間の距離にあります。
刃物の一大産地である関市は、現在でも刀鍛冶の伝統が息づくまちです。また、自然あふれる観光資源にも恵まれ、清流・長良川の源流が市内を潤しています。
さらに、刀匠の力の源として「うなぎ」が有名で、市内には多くのうなぎの名店があります。
そのほかにも、板取川で獲れる鮎や、上之保地域のゆず、洞戸地域のキウイフルーツなど、特色ある特産品があります。
関市の協働の取り組み
関市では、自治基本条例より、「まちづくりの主役は市民」と定められています。
ここでいう「市民」とは、
関市に関わる多くの皆さんの知識や経験がまちづくりに生かされるよう、市内の住所があるだけではなく、市内に通勤・通学されている方、市内の事業者や団体など(自治基本条例より抜粋)
をいいます。
また、関市協働のまちづくり指針では、「協働」とは、
市民、市民活動団体及び行政の3者が対等な立場で、共通する課題の解決のために、互いの立場や特性を生かし、それぞれの資源や能力を持ち寄り、連携・協力して取り組むこと(関市協働のまちづくり指針より抜粋)
をいいます。
2026年現在、少子高齢化や価値観の多様化によって、社会課題が複雑化しています。さらに、関市は南北に細長く、関市中心地と板取、上之保の山間地域では、抱える課題や暮らしが異なります。

行政が主導で行ってきたまちづくりは、民間主導のまちづくりへ移り変わり、暮らしている住民から地域の社会課題の解決を進めていく時代になりました。
そのためにも”協働”の考え方で、市民、市民団体、行政が対等な立場でそれぞれの特性を活かして地域の課題について取り組む必要があります。
せき・まちづくりNPOぶうめらんの取り組み
ぶうめらんは2007年に設立され、「関市の魅力を“関の人自身”に再発見してもらうための事業」を展開してきました。2025年度には、第14回キャリア教育推進連携表彰を受賞しています。
関市でも若者の地域離れが課題となっています。Uターンした方へのヒアリングでは、「故郷への愛着」が理由として挙げられました。
「地域への愛着」に着目し、Uターン促進につながる下記の取り組みを行っています。
①メディア事業
②まちの学校事業
③市民活動センター事業
かみのてらす
せきてらすから移動し、関市神野という地区にある「神野テラス」という古民家をリノベーションした宿泊型体験施設を見学しました。
施設のオーナーである、株式会社大自然代表取締役の岩城淳一さんに施設の紹介と取り組みについてお話をしていただきました。

印象的だったのは、「人が少ないからといって場所を減らすのではなく、どう活かすか」という考え方が大切にされていました。
全会一致を目指すのではなく、多数派をつくって前に進む。
移住者へのアプローチとしても、地域の価値を伝え続け、見つけ続ける姿勢が大事だという話が印象的でした。
良いことだけでなく、苦しいことも口に出して共有することが、地域のつながりを強くしているそうです。
NPO法人日本平成村
上野テラスから移動し、関市の武儀地域で活動をしている「NPO法人日本平成村」の取り組みについてお話を伺いました。
中山間地域の地域委員会(まちづくり協議会)の事例として、事務局長の可児翔也さんと事務局の江坂侑さんにお話をお伺いしました。

日本平成村のはじまりは、昭和から平成へと元号が変わるタイミングまでさかのぼります。地名の「へなり」が「平成」と同じ漢字であることから全国的に注目を集め、マスコミや観光客が訪れるようになりました。
その後、2005年に関市と合併。2006年に「NPO法人日本平成村」が設立されます。
設立当初から続いている代表的な取り組みが、福祉有償運送事業です。現在は約300人が登録し、年間およそ1,000件の利用があります。
また、武儀地域は人口減少と高齢化が急速に進んでいます。かつて約3,400人だった人口は、2025年には約2,600人まで減少し、高齢化率は50%に達しました。2024年には地域唯一の高等学校も廃校となり、進学や就職を機に若者が地域を離れる流れが強まっています。
こうした現実を受け、日本平成村では担い手の確保と育成に力を入れています。盆踊り復活プロジェクトやイベントへのボランティア参加や、地元で活躍する若者と連携したイベントの開催など、若い世代が関われる場づくりを進めています。
特徴的なのは、「すべてに参加しなくてもいい」という柔軟な関わり方です。短時間の参加や、楽しみながら得意なことを活かす関わり方を大切にし、堅い会議への出席を前提としない姿勢が、多くの人の参加につながっています。
また、地域おこし協力隊との連携も進んでおり、これまでに2名が任期終了後も武儀地域に移住し、活動を続けています。
空き家対策については、当初セミナー形式での啓発を検討していましたが、所有者の高齢化や施設入所、地域外在住といった事情から参加が難しいケースが多く、現在は個別相談を中心に対応しています。
より現実に即した支援へと形を変えながら、丁寧に取り組まれていました。今後は「終活」を切り口に、空き家対策と若者の定住支援を結びつける新たな取り組みも検討されているそうです。
人口減少や高齢化という大きな課題の中で、日本平成村は「できること」を一つひとつ積み重ねながら地域を支えています。
そばのカフェおくど
次に訪れたのは、同じく武儀地域にある「そばのカフェおくど」です。
合同会社 地域と協力の向こう側 代表の中田誠志さんにお話をお伺いしました。

この「そばのカフェおくど」は、古民家のオーナーさんと中田さんで丁寧に擦り合わせをしながら、企業として改修された建物です。
ここは地域の交流スペースとして活用してほしいという思いが込められています。初めは片付けから始まり、高校生やさまざまな人たちと一緒に作業しながらアイデアももらったそうです。
1月・2月には、地域の伝統を引き継ぐ取り組みとして、玉みそづくりのワークショップも実施しました。
古民家再生では柿渋を使い、時間が経つほど味わい深く黒くなる変化も楽しんでいるそうです。
中田さんは、東京から岐阜県関市に移住してきた経験があり、都市部と田舎の違いについての話もありました。
都市部では「少しでも高く売れればいい」という価値観になりがちですが、田舎では「大切にしたい場所」があります。好き勝手に使われると困る、という感覚も強いそうです。
中山間地域だからこそ、使えるものはとことん使い、「何を価値とするか」を考え続けているそうです。
離れをゲストハウスにして長期滞在の要望に応えたり、行政の縦割りを越えて横串を刺す人材の必要性も語られました。
夕食は、そばのカフェおくどのお弁当をご用意いただき、今回の視察でご協力いただいた地域の皆様と交流会を行いました。

かわまろじ
視察2日目の始まりは、「かわまろじ」で市街地の空き家活用の事例を紹介しました。
かわまろじ代表の田口智樹さんと活動や意見交換を行いました。

田口さんが、元美濃森林文化アカデミーの講師だった経験を活かし、「空き家解体ワークショップ」形式で多くの人が関わりながらつくられてきた場所です。中山間地域の大きな古民家とは異なり、市街地ならではの、限られた空間をどう使うかが工夫のポイントとなっています。
かわまろじでは、狭い空き家を広く見せる工夫や、接着剤を使わずに後から直せる施工方法を取り入れ、挑戦しやすい改修を行っています。道具を持ち寄った数人でワークショップができる手軽さもあり、プロではない人が関わることで生まれる良さがあります。
建築には一つの正解があるわけではなく、材料ややり方によって結果が変わることを学べる場にもなっています。
「かわまろじ」という名前は、もともとの地名「川間町」から取り、「ロッジ」と「路地」をかけ合わせたものです。空き家に興味のある人が集まり、同時に空き家に困っている人からも声がかかる、モデル的な存在になっています。
実際に空き家がどう変わるのかを目で見て確認できる場所があること自体が大きな価値となっており、市とも連携し、空き家相談の拠点としての役割も担っています。
新築は費用が高く、古い建物に魅力を感じる若者も増えていますが、改修には時間や手間がかかります。
「できない」と諦めるのではなく、「少しでも安く」「自分たちの手で直す」という選択肢を示してきました。
空き家に興味のある人と、空き家に困っている人をつなぐ場として、かわまろじは市街地の空き家活用を考える上で、具体的なイメージを与えてくれる存在となっています。
くらちふれあいまちづくり協議会
最後に、「くらちふれあいまちづくり協議会」の取り組みです。
倉知地域は関市の中心市街地に位置し、比較的若い子育て世帯を巻き込んだ取り組みが行われているのが特徴の地域委員会(まちづくり協議会)です。

幅広い世代が交流できるイベントを企画し、小中学生のボランティアが参加しています。また、倉知地域内に所在する中部学院大学のボランティアサークルと協力して、イベント運営も行っています。
倉知地域が安心して暮らすことができる地域になるための10年間の計画である「地域振興計画」に関して、以前は市役所主導でしたが、今回は「自分たちでやろう」と4つの課題に分けて進めました。
計画に若い世代の意見を取り入れるため、40代以下に絞った「ガヤガヤ会議」も実施しました。
このように、地域委員会の委員でなくても関われるよう、敷居を下げた交流会を開催しています。また、参加した人が仲間を連れてくる循環が生まれているそうです。
居場所づくりの取り組みでは、夏休みに自由に来られる場を設け、「誰が来てもいい」場所として認識してもらうところから始めました。
不登校の子が手伝いに来て自己肯定感を持てるようになった事例もあり、ボランティアの輪も広がっています。
高齢者対策としては、敬老会やイベント、ウォーキングなどを実施し、世代を超えた交流が生まれています。
自治会との関係では、上下関係をつくらず、それぞれの役割を尊重しながら連携しているとのことでした。
まとめセッション・振り返り
2日間の視察の最後には振り返りをし、それぞれが「自分たちの地域に持ち帰りたいこと」を考え、共有しました
関市での取り組みを通して得た気づきやヒントを、自分たちのまちでどう活かしていくかを前向きに考える姿が印象的でした。
「できることから一歩ずつ始めていきたい」――そんな想いがあふれる、あたたかく力強い時間となりました。
今回のような視察や講演会のご依頼も受け付けております。
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